銀のもつ独特の色調は古来より尊ばれ、金とならんで装飾品全般に活用されてきました。 現代でも装身具、食器、バッジ、トロフィー、メダル、楽器などに光沢銀めっきが利用されています。フルートなどの金管楽器に銀めっきを施すと音色がよくなることや、洋食器に銀めっきすることで水分の中の微生物や細菌が殺菌され、衛生上きわめて好ましいことなど、銀めっきの目に見えない利点は案外、一般の消費者には知られていません。
金めっき同様、電子工業には欠かすことのできないめっき技術です。金めっきほど高価格でなく、電気伝導性は金属中で最良という優れた物性から、きわめて広範囲な分野で利用されています。 銀めっきは、コネクター、端子、スイッチ類などへの光沢めっきとトランジスタステムやICリードフレームへの高純度無光沢めっきがあります。 銀めっきにも金めっき同様、膜圧と種類に関するJIS規格があり、また硬さや密着性、耐食性、ハンダ漏れ性の規格は金めっきと同じです。なお、銀めっきは非常に硫化変色を起こしやすいため、めっき後に変色防止処理が施されているが、電気接点関係では、クロメート処理のよる変色防止よりもオイルコーティングによる変色防止の方が銀めっきの特性を損なわない場合もあります。また、他のめっきにはない粘りや潤滑性を利用した固体潤滑皮膜としての用途もあります。